試乗を終えて、セールス氏に感謝の意を伝え、ショールームに入り、カタログ その他の資料の所望を伝え待っていると、奥にサテンホワイト・パールの レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT DIT が鎮座しているのを発見。
「これが・・・」
思わず目を細めてひとしきり魅入る。
クルマの周りをためつすがめつ一周すると、やはりどうしてもエンジンの前に釘付けになってしまう。 | |
| そう、これが新たなる スバル のフラッグシップなのだ。
24年前、やはりショールームに鎮座する BC5 レガシィRS の EJ20ターボ を初めて見たときの熱い想いが交錯する。
「お待たせしました。」
セールス氏がほどなく資料を手に、レガシィ 2.0 GT DIT に魅入る私の許へ歩いてきた。 |
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このカタログのリンクはちょっと変わっていて、クリックではなく、最寄のスバルの支店へ足を運べば、見るばかりか手にできるという仕組みになっている。ぜひ、お試し頂きたい。 |
優れたエンジンを説明するのに、あまり言葉はいらない。
あれほどメディアが 「遅れている遅れている」 と叩いてきた スバル の直噴技術について、今回、富士重工業 の技術陣は、完全な筒内噴射で、そしてそれが可能にした 10.5 という高圧縮比 から 最高出力 300ps を発生するターボエンジンという形で、見事に返答してみせた。
さらに、2.0Lの市販車としては、世界でも屈指のハイパフォーマンスエンジンにドッキングさせたのが、400N・mという強大なトルクに打ち勝つ、強靭なスチールベルト式 新リニアトロニックCVT なのだ。
この 2点 だけでも、開発に関わった 富士重工業 の技術陣の凄まじい執念と、この技術が、これから生まれ来る 「未来のスバルたち」 にもたらす、「限りない可能性」を、スバリストならずとも感じ取ることができるだろう。 |
世の中に完全なものはない。しかし完全なものに近ずける努力はできる筈だ。 技術者はそれに挑戦する。 与えられた条件の中で、与えられたテーマを満たすための正しい努力、 それはむつかしいことだ。
(昭和41年4月発行 「スバル」 スバル1000臨時号 より) |
スバル360 、 スバル1000 で開発主幹を務められた 百瀬晋六氏の言葉だ。
私ごときが引用することをお許し頂きたい。
新しい FB25 エンジン、そして Eyesight に試乗して、私の頭に浮かんだのは、 百瀬氏 のこの言葉だった。富士重工業 の 技術者たちは、確かに 百瀬氏のいう「正しい努力」を日々積み重ねている。
ところで、2.0 DIT の試乗車は?
「それが大変申し訳ございません。本社の方にございまして・・・。」とのこと。
福岡・東京間に比べればものの距離ではない。BRZ の AT の用意もあるとのことなので、個人的には 6MT との違いにも興味深々である。
試乗ばかりか、ありがたいレクチャーまで頂けたことに心からの感謝を伝えて、挨拶もそこそこに、私は再び ビストロ スポーツ に乗り込んだ。 |